ベッド上で伏臥中吐物を出し乳児が窒息死した事案の損害賠償について

京都地裁昭和50年8月5日判決は、乳児保育園を設置経営して乳児保育事業を行っている社会福祉法人である被告に対して,ベッド上で伏臥中、吐物を出して窒息死した乳児の父母が損害賠償を請求したところ、その請求を棄却した事案です。「被告は・・・保育を引受けたのであるから準委任の受任者として善良な管理者の注意を以て保育の任に当るべき義務があつたことは当然であり、・・・死亡当日迎えに来た(母)が傍へ来る少し前の頃吐物を吸引しそれが声門部にひつかゝり窒息死したものであるから、もしこの吐瀉をした時傍に保母がおり直ちに適当な処置をとつていたらこの事故を防止し得たのに折悪しく保母のNもMも傍におらずこの処置をとることができなかつたといわねばならないが当時原告らが保母に一郎の健康状態やT病院での診療状況を具さに告げて特別扱いを頼んでいた事実がなくかつこうした集団保育の場所で保母に乳児から片時も眼を離すなというのは難きを強うるものである。」などとして被告側に過失無しと判断しました。