こども園に対する防音設備設置や慰謝料支払の請求が棄却された事案

名古屋地裁岡崎支部平成30年9月28日判決は,子ども園を運営する社会福祉法人に対して,道路を隔てて居住している住民らが,所有権ないし人格権に基づき,防音設備設置及び慰謝料の支払を求めた事案において,私人の事業活動に伴って生じる騒音によって第三者が被害を受けた場合に,それが違法となるか否かは,侵害行為の態様,侵害の程度,被侵害利益の性質と内容,当該施設の所在地の地域環境,侵害行為の開始とその後の継続の経過及び状況,その間に採られた被害の防止に関する措置の有無及びその内容,効果等の諸般の事情を総合的に考察して,第三者の被害が一般社会生活上受忍すべき程度を超えるものかどうかによって決すべきであるとする最高裁平成6年3月24日判決を引用し,原告ら居住物件とこども園の場所的環境,本件土地建物の使用状況等,本件こども園の利用状況等を認定したうえ,上記の最高裁判決が挙げた諸要素を検討したうえ,本件こども園の音が一般社会生活上受忍すべき程度を超えているということはできず,被告の行為が違法なものであると認めることはできないとして,請求を棄却しました。