園児が突然に走り出し転倒する可能性を予見することが困難であったとされた事案

東京地裁平成21年5月25日判決は、被告が経営する保育所における散歩の帰り道において,原告を含む2名以外の園児6名は,サークル車(カート)に乗せられて保育所に戻ることとなったが,原告ともう1人の園児は、担任保育士とともに,途中にある遊歩道を歩き保育所に戻ることになったところ、遊歩道を帰る途中,担任保育士は,原告とつないだ手を離して、川に停泊していた船・ボートを原告と眺めていたところ,もう一人の園児が突然保育園の方向に走り出し,原告はそれを追いかけるように振り向きざまに走り出したので、保育士は原告の後を追いかけたが,原告は数メートル走り出したところで転倒して路面に顔面を打ち当て,前額部分と鼻下部分の2箇所に傷を負った事案において、担任保育士において,原告が停泊中の船を見ていた時点で,原告が走り出して転倒する可能性があることを予見することは困難であったというほかなく,原告の手を握ったり,走り出した直後に原告を制止したりするなどして,原告の転倒 事故を回避すべき注意義務があったとは認め難いとして、保育士の保護監督義務違反などを否定し、請求を棄却しました。